糖質制限が流行しています。
「糖質さえ控えれば痩せる」「白米は敵」といった極端な主張を耳にしたことがある人も多いでしょう。実際に体重が落ちたという報告も少なくありません。
ですが、減量やボディメイクに本気で取り組む人間として問いたいのは、「その体重減少が本質的かどうか」です。
目先の数字だけを追いかけた結果、筋量を落とし、体調を崩し、結局リバウンドしていては意味がありません。
糖質制限に惑わされないために、ここで一度立ち止まって「糖質とは何か」「本当に制限すべきなのか」を冷静に考えてみましょう。
糖質制限とは何か?そして、なぜ流行るのか
糖質制限ダイエットとは、日常の食生活から糖質(炭水化物)を排除することです。
白米、パン、麺類、イモ類、果物、菓子類――糖質を多く含む食品を避ける。それによってインスリンの分泌を抑え、脂肪の蓄積を防ぐというのが基本のロジックです。
確かに、インスリンは脂肪の合成を促すホルモンです。
糖質を摂取すればインスリンが分泌され、それに伴って脂肪がつきやすくなるのは事実。
しかし、これは「糖質=太る」ではありません。
重要なのはタイミングと量、そして体の使い方です。
糖質は悪ではなく、使い方を誤れば太るというだけの話です。
自分の経験:糖質制限で痩せた、でも…
私自身、過去に糖質を極端に制限した時期がありました。
1〜2ヶ月、ほぼ糖質を断ち、トレーニングを継続した結果、体重は確かに落ちました。
しかし、それは単に摂取カロリーが減ったからに過ぎません。
糖質を抜いたから痩せたのではなく、食事量そのものが落ちたことで、エネルギー収支がマイナスになった。つまり、糖質を悪者にする必要はなかったということです。
むしろ、長期的に見ると疲労感が強くなり、筋トレのパフォーマンスも落ちました。食事が偏っていたため、肌の調子も悪くなった。リバウンドもしました。
「痩せたけど仕上がっていない」状態。これが私の糖質制限の実感です。
糖質制限はリバウンドリスクも高い
糖質を抜くと体内のグリコーゲンが減ります。グリコーゲンは水分と結びついているため、体内の水分も一気に抜け、体重が落ちます。
この体重減少が「成果」と誤解されがちですが、それは一時的な“数字の演出”です。
制限を解除すれば水分は戻り、体重も戻る。そして反動で過食が起きれば、脂肪として定着する。これがリバウンドのメカニズムです。
つまり、糖質制限は短期的には成果が出やすい反面、維持が難しく、反動も大きいというリスクを持っています。
減量に必要なのは「制限」ではなく「管理」
大事なのは「制限すること」ではなく、「管理すること」です。
糖質も脂質も、たんぱく質も、すべては身体の材料。バランスがあってこそ、健康的に痩せられる。
「PFCバランス」という言葉をご存知でしょうか?
- Protein(たんぱく質)
- Fat(脂質)
- Carbohydrate(炭水化物)
この三大栄養素の比率を意識することが、ボディメイクにおいては基本です。
糖質を完全に排除するという極端な方法ではなく、自分の消費量に合わせて調整するという考え方が、継続的な成果につながります。
まずは「余計なカロリー」を見直すべき
多くの人は「糖質をやめれば痩せる」と思い込みますが、それ以前に見直すべきは無自覚なカロリー摂取です。
• 仕事中のつまみ食い
• 会議後のスイーツ
• 食後の満腹なのに手が伸びるお菓子
• 飲み会での〆のラーメン
これらが習慣化していると、糖質を制限したところで効果は限定的です。
まずは、「摂取しなくてもいいカロリー」を排除すること。
それが、減量の本当のスタートラインです。
実践すべきこと:記録と思考の習慣化
おすすめの方法はシンプルです。
• 毎朝、排尿後に体重を計測する
• 全ての食事をノートやアプリで記録する
• おおよそのカロリーとPFCバランスをざっくりでも把握する
これを続けていくと、「このタイミングでこの食べ方をすると体重がこう動く」という因果関係に自覚的になれます。
これは糖質制限よりもよほど効果があり、再現性も高いです。
まとめ:減量は日常の中にある
流行のダイエットは、いつだって派手で魅力的に見えます。
でも、本質はいつも地味な「積み重ね」です。
減量の鍵は、自分の食習慣と向き合い、毎日観察し、改善すること。
そして、自分の身体に合った方法を、きちんと継続できるかどうか。
「糖質が悪い」ではなく、「選び方が甘い」「記録が甘い」「判断が甘い」。
そこに気づけたとき、ようやく体は確実に変わり始めます。
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